ヒグマと人間
アメリカ西部画像
かつてヒグマは北部から中央ヨーロッパ、アジア、アフリカ大陸のモロッコやアルジェリ アなどのアトラス山脈周辺、アメリカ大陸では西部アメリカ大陸からメキシコにかけて分布していたといわれています。しかし、その多くで生息地の開発や人間 による迫害により生息数を大幅に減らしており、実際に絶滅してしまった地域も 数多くあります。アメリカ大陸を例にとると北メキシコにいた個体は1960年 代に絶滅してしまったといわれています。

その昔、アメリカ 大陸にいたヒグマは、中央アメリカのグレートプレーン各地に一般的に見られていました。しかし、ゴールドラッシュに沸く西部開拓時代に入 ると、次第に彼らの住処をヨーロッパからの開拓者が脅かすようになります。その後森林の伐採や鉱山での採掘、道路や鉄道の敷設、市街地の開発などによって 彼らの生息地は急速に狭められていきました。更にそれに拍車をかけたのが農民たちによる迫害でした。牛や羊などの家畜を襲うヒグマは彼らにとってまさに生 活を脅かす存在で、それによりアメリカ各地でヒグマ狩りが行われ、よりヒグマはその数を減らしていきました。またスポーツハンティングの対象としてもヒグ マは人気があり、ハンターの勲章として数多くのクマが殺されています。

1900年代初頭 にはアメリカ全域で約10万頭のヒグマがいたといわれていま す。しかし、人間との戦いに敗れた彼らは、現在ではその100分の1程度に過 ぎない1000頭しか生き残っていないといわれています。更 に生息地も、もともとの広大な地域からその1%の地域に狭まっており、今ではロッキー山脈の山 奥などでひっそりと生き延びています。

またヒグマの減少に関係しているのはアメリカ合衆国の人々に限らず、アジア諸国でのヒグマの需要も近年では問題になってきています。というのも古くから漢 方薬などではクマの体の部位は珍重されており、とりわけヒグマの胆嚢は非常に高価な値段で取引がなされています。(ちなみによく『クマの イ』という漢方薬 の名前を耳にしますが、これはクマの胃袋のことではなく、漢字で書くと『クマの胆』となり胆嚢のこと です。)なんとその値段は1gで1 万円にも上るといい ます。このアジアでの需要は近年急増しており、アメリカだけでなくロシアやアジアのヒグマもその標的となっています。しかしながらこれらクマから作った薬 にはなんら医学的な効果があるという根拠はありません。

現在全世界にいるヒグマの数は13〜15万頭といわれており、そのうち10万頭がユー ラシア大陸に、3万頭がアラスカやカナダなどのアメリカ大陸に住んで います。

その姿と恐ろしいイメージから人間を襲う動物として恐れられているヒグマですが、かなり誇張されて伝えられている話も多く実際にはそれほど人間に対して攻 撃的な動物というわけではありません。むしろ彼らは人間との接触を拒む傾向にあり、物音や人間のにおいがすると姿を隠してしまいます。(よ く山登りやハイ キングに鈴や音の鳴るラジオを身に着けていくは、このクマを習性を使用したものでクマとの接触を避けるためのものです。)

ただよく言われるように子連れの母熊は非常に神経質になっており、その他にも冬眠明けなどで必死に食べ物を探しているときなどは注意が必要であり、近くに いると襲われる危険性も高くなります。またもちろん彼らも動物ですので突発的に気性が荒くなることがありますが、人間がむやみに近づいたりしなければそれ ほど危険な動物ではありません。

人間とヒグマの住む場所同士が近づいている現在では、他の動物たちと同様互いの共存が重要となっていますが、アメリカのワイオミング州のロッキー山中にあ るイエローストーン国立公園やアラスカなどでは自然を旅行者に楽しんでもらうエコツアーリズムが盛んであり、ヒグマはその中でも人気者になっていま す。こ ういったところでは観光産業を基にして、保護と管理を行っており、この先ヒグマとうまく付き合っていく上ではこのような活動が必要不可欠となっています。

[画像提供] ゆんフリー写真素材集 様          
Photo by (c)Tomoyuki.U                  

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